経営力強化資金の利率って本当に安くなるの?

 経営力強化資金とは、①無担保・無保証、自己資金の規定なし、③かなりの低金利事業資金を借りることができる日本政策金融公庫の融資制度です。 

 

 上記の内、「低金利」については経営力向上計画の認定を受けた方が有利という一面があるのですが、一方、経営力強化資金は「無保証」ですから、特に個人事業主が法人成りする場合には、万が一、失敗しても再起の余地が大きいということになります。!(^^)!

 

 しかし、非常に有利な制度にも関わらず、その存在自体が一般に知られておらず、ほんの一部の起業家しか利用できていないという残念な実態があります。そこで本記事では、経営力強化資金の実態やメリット・デメリットなどについて、お伝えしていきたいと思います。

 

目次

国民生活事業と中小企業事業の違い

  さて、まずはちょっとややこしいことからの説明で恐縮です(*^-^*)

 

 一口に「中小企業経営力強化資金」と言っても、政策金融公庫では「国民生活事業における中小企業経営力強化資金」と「中小企業事業における中小企業経営力強化資金」の2種類があります。

 

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 そして、上記2つの「中小企業経営力強化資金」は、同一もしくは似ている貸出条件もありますが、基本的にはまったく異なる金融商品となります。

 

 例えば、融資限度額1つをとっても、国民生活事業では7,200万円中小企業事業7億2,000万円と10倍もの開きがあるのです。

 

 したがって、2つの違いをキチンと認識しないと、いざ融資の場面になり、「事前に考えていたことと全然違うじゃないか」ということになりかねません。

 

 そこでまずは、政策金融公庫における国民生活事業中小企業事業の違いについて、見ていきましょう。

 

国民生活事業と中小企業事業~業務の概要について

 まずは政策金融公庫のホームページについて見てみましょう。

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 先頭には、公庫全体の業務の概要として下記の記述があります。

日本公庫は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、以下の機能を担うことにより、国民生活の向上に寄与することを目的とする政策金融機関です。

 

 

 続いて国民生活事業については下記です。

国民生活事業

国民生活事業は、地域の身近な金融機関として、小規模事業者や創業企業の皆さまへの事業資金融資のほか、お子さまの入学資金などを必要とする皆さまへの教育資金融資などを行っています。

数多くの小規模事業者への小口融資
融資先数は88万先にのぼります。
1先あたりの平均融資残高は689万円と小口融資が主体です。
融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。

セーフティネット機能を発揮
経営環境などの変化により資金繰りに影響を受けた小規模事業者の皆さまを「セーフティネット貸付」で支援しています。
地震、台風、豪雪等の災害時には、ご融資などを通じて被害を受けた小規模事業者の皆さまの復旧・復興を支援しています。

創業企業、事業再生などを支援
創業企業(創業前及び創業後1年以内)への融資は年間26,465先となりました。これにより年間9万5千人の雇用が創出されたと考えられます。
革新的な事業に取り組む皆さまを「資本性ローン」により支援しています。
事業の再生などを図る小規模事業者の皆さまを支援しています。

 

 

 農林水産事業は割愛させていただき、続いて中小企業事業については下記のように記述されています。

 
中小企業事業
 
業務の概要・特徴

中小企業事業は、融資、信用保険などの多様な機能により、日本経済の活力の源泉であり、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の皆さまの成長・発展を金融面から支援しています。

 

融資業務

中小企業の皆さまの事業の振興に必要な資金であって、長期固定金利の事業資金を安定的に供給することにより、民間金融機関による資金供給を補完しています。
中小企業者に対する貸付
中小企業者が発行する社債(新株予約権付)の取得
中小企業投資育成株式会社に対する貸付
中小企業者に対する貸付債権・社債の証券化(証券化・自己型)
設備貸与機関に対する貸付債権の管理・回収(注)

(注)設備貸与機関に対する貸付は、平成27年3月30日をもって終了しており、現在は設備貸与機関に対して行った貸付債権の管理及び回収の業務を行っています。

 

信用保険業務

中小企業・小規模事業者の皆さまの円滑な資金の調達を支援するため、信用保証協会が行う中小企業・小規模事業者の皆さまの借入などに係る債務の保証についての保険の引受けなどを行っています。
信用保証協会が行う中小企業・小規模事業者の皆さまの借入などに係る債務の保証についての保険
信用保証協会に対する貸付け
破綻金融機関等関連特別保険等業務
機械保険経過業務(注)

(注)機械類信用保険は、平成15年3月31日までに保険関係が成立していたものを除き、現在は既に成立している保険関係に係る保険金の支払、回収金の収納等の業務(機械保険経過業務)を行っています。

 

証券化支援業務

中小企業の皆さまへの無担保資金の供給の円滑化を図るため、民間金融機関等による証券化手法を活用した取組みを支援しています。証券化支援の手法には、「買取型」、「保証型」及び「売掛金債権証券化等」があります。

 

 

 上記で難しいのは、「小規模事業者」の扱いですね。というのも、国民生活事業と中小企業事業の双方に「小規模事業者」という文言が載っているからです。

 

 それでは、「小規模事業者」について両者の線引きはどうなっているのでしょうか?

 

 ホームページの記載だけでははっきりとしない面もあるのですが、どうやら、「小規模事業者」については、国民生活事業では「事業資金融資」を行い、中小企業事業では「債務保証(≒信用保証協会が行う借入などに係る債務の保証についての保険の引受け)」を行うということのようです。

 

 つまりは、小規模事業者」の借入は国民生活事業から行うということになりそうですね(*^-^*)

 

経営力強化資金のメリットって何?

 本項では、ズバリ経営力強化資金のメリットについて述べていきたいと思います。

 

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借入金の利率について

 

 経営力強化資金の最大のメリット・・・それは借入金の利率が、政策金融公庫の通常の借入より、かなり低くなることです。

 

 大体、基準金利よりも0.4%程度、安い利率で借りることが可能と言われています。(ここでは敢えて「大体」とか「言われています」とか、曖昧な表現を使用していますが、その理由についても後ほど述べたいと思います(*^-^*))

 

 そもそも政策金融公庫では、経営力強化資金を使わなかったとしても、民間の金融機関よりかなり低い利率で借りることが出来ます。さらに制度融資自治体の融資制度)と異なり、信用保証協会に対する信用保証料も不要なため、余分な手間や費用がかかりません。

 

 また経営力向上計画の認定による金融支援措置と異なり、資金用途も設備投資に限定されていません。つまりは運転資金でも使用することが可能になるという訳です!

 

 例えば、2,000万円を借り入れる場合には、年間の支払利息の額が10万円程度、安くなる訳です。これは使わない手はないと思いませんか?(*^-^*)

 

 

経営力強化資金の利率はどうやって算出されるの?

 まずは政策金融公庫のホームページを再度覗いてみましょう。そこには下記の記載があります。(国民生活事業)

利率(年)

1.融資限度額のうち2,000万円以内で無担保・無保証人にてご利用いただく方[特利S]
ただし、「中小企業の会計」(注)を適用している方または適用を予定している方は、[特利S-0.1%]

2.前1以外の方 [基準利率]
「中小企業の会計」(注)を適用している方または適用を予定している方は、[基準利率-0.1%]

 

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 謎はますます深まります 笑

 

 というのも、ここに「▲0.4%の優遇金利」の記載など、まったくありません

 

 あるのは【特利S】あるいは[基準利率]という言葉だけです。

 

 それでは【特利S】、[基準利率]の具体的な利率は何%なのでしょうか?

 

 

特利Sの利率ってどの位になるの?

 まずは「特利S」について、見ていきましょう。

 
 「特利S」とは、正式には「特別利息S」というらしいのですが、政策金融公庫の利率一覧表によれば、平成29年7月12日現在の「特利S」の年利は、2.06%~2.35%となります。

 

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 上限(2.06%)から下限(2.35%)まで、0.29%もの差がある訳ですが、仮に最安の2.06%の場合、中小企業の会計を利用し▲0.1%の優遇、経営力強化資金の▲0.4%の優遇の双方が適用された場合には、年利1.56%で借入が可能になるということでしょうか???

 

 年利1.56%で借りられるとすれば、資本力のない中小企業や小規模企業にとって、なかなか魅力的な利率ですね(*^-^*)

 

 

基準金利って、どの位?

 続いて、基準金利について見ていきましょう。

 

 基準金利は、「災害貸付」等特殊なものを除くと、①無担保融資、②新創業融資(無担保融資)、③有担保融資の3つに分かれますが、平成29年7月12日時点での具体的な基準金利は下記となります。

 

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 ちなみに「新創業融資」とは、税務申告を2期終えていない場合に適用されるようですが、営業上の信用が薄い分、金利も通常の無担保融資よりも高くなるようです。

 

 もっとも金利が安いのは、やはり有担保融資となりますが、最安1.16%~最高2.35%とバッファ(かい離)が1.19%もあり、提供する担保価値により、金利もかなり異なってきます

 

 このバッファについては、無担保融資でも0.59%あり、要は経営力強化資金の0.4%の優遇措置を受けても吸収しきれない場合があるということですね ((+_+))

 

 

経営力強化資金の利率って、ズバリ何%なの???

 これまで述べてきたように、経営力強化資金の利率については、「基準金利」だけでも4種類あり、しかもそれぞれにおいて、利率のバッファが最大1.19%もあるなど計算の基すら分からないため、「ズバリ何%で借りれるのか?」・・・どうにも釈然としないところです((+_+))

 

 例えば、制度融資自治体の融資制度)と比較検討ができないまま、申込書を記入し、融資が下りた場合、制度融資より高い金利を支払うこととなり、結果として、「高い買い物をしてしまった」といった事態につながりかねません。。。

 

 一体、経営力強化資金の利率はズバリ何%なのでしょうか?

 

 そこで、少々前の資料ですが、中小企業庁が出した「新設 中小企業経営力強化資金 別紙4」という資料を見てみましょう。

 

 そこには、「貸付利率」として「特別利率①(基準利率※2-0.4%)という記載があり、「※2」の箇所には「3月1日現在(中小)1.45%、(国民)1.95%」となっていました。

 

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 したがって、小規模事業者が2017年3月1日時点で、国民生活事業にて、経営力強化資金を借り入れる場合、その利率は1.55%だったということがお分かりいただけると思います。

 

 もっとも上記についても金利変動の影響は受けるため、絶対的なものではありませんが、ひとつの参考数値とはなるでしょう。

 

借入限度額が高いこと

 経営力強化資金は利率だけでなく、融資限度額返済期間においても、圧倒的に有利な制度です。

 

※国民生活事業の場合

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 まず資金の用途ですが、運転資金だけでなく、設備資金にも利用することができます。

 

 そして、その融資限度額ですが、国民生活事業においては、7,200万円。(内訳:運転資金4,800万円。設備資金2,400万円)中小企業事業においては、なんと7億2,000万円。(内訳:運転資金2億5,000万円。設備資金4億7,000万円

 

 ちなみに同じ政策金融公庫の融資制度「新創業融資制度」(国民生活事業)の場合の融資限度額は3,000万円内訳:運転資金1,500万円。設備資金1,500万円)ですから、経営力強化資金はいかに有利かがお分かりいただけると思います。

 

 もちろん、あくまで「限度額」なので、必ず全額借りられる訳ではないのですが(*^-^*)、それでも倍以上です!

 

 

返済期間が長めにとれること

 また返済期間も破格です。事業資金の場合、資金繰りを安定させるためにも、できるだけ長く借りられた方が良いのですが、経営力強化資金の設備資金の場合、その返済期間はなんと20年!しかも据置期間【その間、利息のみ払えば元本の返済が猶予される期間】2年も用意されています。

 

 他の公的融資制度だと、返済期間3年から長くても8年。据置期間も6か月以内ということが多いので、ここでもその有利さがお分かりいただけると思います。

 

 

自己資金が不要

 そもそも経営力強化資金は、新事業分野の開拓等のために事業計画を策定し、認定支援機関(認定経営革新等支援機関)の指導・助言を受けた起業家を対象にした優遇融資制度です。

 

 つまりは、認定支援機関が指導・助言することで、より事業が成功する確率が高まるだろうという考え方に基づいています。

 

 そこで、経営力強化資金においては、政策金融公庫の通常融資に設定されている「自己資金の要件」が規定されていません

 

 ちなみに、「自己資金の要件」とは、政策金融公庫のホームページによれば、「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)」となっています。

 

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 上記の中で「10分の1以上」という部分は、以前は「3分の1以上」という規定であったため、これでも大分、緩和されています。(「3分の1以上」の自己資金ということは、例えば1,000万円を借りたい場合、350万円程度の自己資金が必要ということですから、かなり厳しいですよね(*^-^*)

 

 経営力強化資金では自己資金の規定がないため、理屈上は自己資金がゼロでも、融資がOKになる可能性があるということです。(あくまで可能性ですが) 

 

 初期の資金力が乏しい起業家にとって、経営力強化資金は心強い味方ですね(*^-^*)

 

 

元金均等返済方式が採用されていること

 これは、政策金融公庫の事業融資全般に共通していることですが、経営力強化資金では「元金均等返済方式」が採用されています。

 

 民間の金融機関の場合、「元利均等返済方式」が採用されていることが多いのですが、「元金均等返済方式」の最大のメリットはなんといっても、全期間中に占める利息の金額が少なくなり、総支払額も小さくなる点ですね。(^◇^)

 

 もっとも「元金均等返済方式」もメリットだけではなく、デメリットも何点かあります。

 

 「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」の違いやメリット・デメリットなどは、住宅ローンを利用された経験がある事業者の方は、よく理解されていると思いますが、そうでない人のために、フラット35のHPより下記を引用しますのでご参照まで!

 

 

■元利均等返済とは
 毎月お支払いいただく返済額が一定となる返済方法です。

■元金均等返済とは
 毎月お支払いいただく返済額のうち、元金の額が一定となる返済方法です。

 

 

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 (フラット35のHPより引用)

 

 

経営力強化資金のデメリットって何なの???

事業計画書作成に手間がかかる

 経営力強化資金での融資を受けるためには、創業計画書よりもかなり難易度の高い事業計画書を策定する必要があります。

 

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 そのボリューム(量的)について、創業計画書ではA4用紙2枚分(A3用紙1枚分)であることに対し、経営力強化資金の事業計画書ではA4用紙3枚分と約1.5倍のボリュームとなります。質的にも「借入金・社債の期末残高推移」について記入の必要があるなど、かなりハードルが高いものとなっています。

 

 しかも、創業計画書では、洋風居酒屋、美容業、中古自動車販売業・・・など業種毎に親切に記入例が用意されているにもかかわらず、経営力強化資金の事業計画書業種毎のマニュアルは用意されておりません。

 

 市販の書籍などでも、経営力強化資金事業計画書について触れてあるケースは稀なようです。

 

 しかし、雑な事業計画書を作成し政策金融公庫に提出してしまうと、融資審査に落とされ、いったん落とされれば、その後、半年くらいは(政策金融公庫全般で)融資の申し込みをすることが実質的に不可能となってしまいます。

 

 事業計画書の策定が大変・・・このことを経営力強化資金のデメリットとして、まず挙げたいと思います。

 

 

事業計画進捗報告書の提出義務

 経営力強化資金にて融資を受けた場合については、年に1回、「事業計画進捗報告書」なる書類を政策金融公庫へ提出しなければなりません。(事業計画進捗報告書については下記画像ご参照)

 

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 そこで報告すべき項目は下記のとおりです。

 

  • 収支の状況
  • 財務の状況
  • 計画達成のため、今期主に取組んだ事項
  • 計画達成できなかった場合の要因および今後の見込み

 

 事業者については、上記記入の上、認定支援機関へ提出し、さらに認定支援機関より「実行した実行支援内容」という欄に所見を記入してもらい、署名捺印をもらった上で政策金融公庫に提出する必要があります。

 

 

 まー、「事業計画進捗報告書」に記入すべき内容については、それほど難易度が高いものではありませんが、それなりの手間と時間はかかると思います。(*^-^*)

 

 

 政策金融公庫の他の融資については、こういった報告義務を課されるケースは少ないため、事業計画進捗報告書の報告義務についても、経営力強化資金のデメリットのひとつと言えるでしょう。

 

 

認定支援機関への依頼が必要

 経営力強化資金を借りるためには、認定支援機関にいわゆる「ハンコ」を押してもらわないといけません。。。

 

 具体的には、事業計画書に「6.認定支援機関等の所見等」という欄があるのですが、この内、「実施した経営革新等支援業務の内容」および「新商品の開発または新役務の内容の所見」および「本計画の評価」という欄への記入してもらう必要があります。

 

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 加えて、「認定支援機関連絡先」という欄には、認定支援機関の電話番号、住所、機関名、担当者名に加えて押印を貰わなければなりません。

 

 尚、実務上は、政策金融公庫へ融資申請に行く前に、あらかじめ認定支援機関に話を通しておき、政策金融公庫の担当者を紹介してもらうことが望ましいのではないでしょうか?

 

 当然、認定支援機関への謝礼などコストがかかりますし、税理士等は、政策金融公庫への紹介等は無料で行ってくれても、後に、高額な顧問料を毎月請求されるなど、通常の謝礼よりもトータルコストの観点からは、かえって高くついてしまう場合もあるので、よくよく注意する必要があります。((+_+))

 

 

繰上返済ができない?

 そもそも、繰上返済とは、約定された月々の返済額とは別に、借入金の全額もしくは一部を返済することを言います。

 

 繰上返済を行うと、返済額はすべて「元金の返済」に充てられ、その後の支払利息を減らすことができるため、特に「住宅ローン」の世界では、繰上返済が推奨される場合が多いようです。

 

 事業資金においても、まとまった資金が入るなど、手元資金が潤沢な事業主は、繰上返済を検討する場合も多いのではないでしょうか?

 

 ところが、政策金融公庫の事業資金の場合は、原則として、繰上返済は認められておりません。ホームページの「日本公庫 中小企業事業資金のご利用にあたって」には下記のような記載があります。

 

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 当事業資金は、長期かつ固定金利であることから、原則として、期限前の繰上償還を認めておりません。ただし、繰上償還の理由が事情やむを得ないものと当事業が承諾した場合に限り、期限前弁済手数料をお支払いいただくことを条件に、繰上償還をすることができます。

 

 なお、一定の要件に該当するかたは、繰上償還時の期限前弁済手数料を免除することができます。詳細は当事業担当者にお問い合わせください。

 

 

 特に経営力強化資金の場合には、通常より優遇金利での貸し出しが行われており、これを繰上返済することは、より難易度が増すのではないでしょうか。((+_+))

 

 

金利がかえって高くつく?

 上記の見出しを読み、意外に感じられた読者の方も多いかもしれません。

 

 経営力強化資金の金利って安くなるんじゃないの?

 

 不審に思われたかもしれませんね。

 

 誤解しないでいただきたいのは、「金利が高くつく」と言っても、それはあくまで、政策金融公庫の他の「女性、若者/シニア起業家支援資金」といった融資商品と比較した場合に過ぎません。

 

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 例えば、ノンバンク等の融資より、金利が高くつく訳ではないので、その点は誤解ないようにお願いします。(*^-^*)

 

 ちょっと脱線してしまいましたが、何故このような逆転現象が起こるのでしょうか?

 

 前述したように、経営力強化資金の利率は、原則、基準金利より0.4%金利が安くなります。

 

 ところがこの基準金利そのものが、やや上昇傾向にあり、「女性、若者/シニア起業家支援資金」で用いられる「特利A」や「特利B」よりも、0.4%以上高い場合があるのです。(下図ご参照)

 

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 そうなると、経営力強化資金の金利についても、0.4%引いても、その差が埋まらず、おのずと「女性、若者/シニア起業家支援資金」より高くなってしまう場合があるということです。

 

 いずれにせよ、少しでも安い金利で借りたい場合には、認定支援機関等の専門家に相談されると良いでしょう。

 

 

 

経営力強化資金って誰が利用できるの?

 

中小企業事業の場合

 前述したように、起業家にとって、何かとメリットの大きい経営力強化資金ですが、それでは実際に経営力強化資金は誰が利用することができるのでしょうか?

 政策金融公庫のホームページによれば、経営力強化資金を「ご利用いただける方」として、下記の記載があります。

 

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次の1または2に当てはまる方

 1.次のすべてに当てはまる方

(1)経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方

(2)事業計画書を策定し、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新など支援機関による指導および助言を受けている方

 

2.次のすべてに当てはまる方

(1)「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を完全に適用している方または適用する予定である方

(2)事業計画書を策定する方

 

 

 つまりは、上記1もしくは2の条件のいずれかを満たしていれば、(審査が通るかどうかは別として)申請自体は可能になるという訳です。

 

 それでは個々の条件について詳しく見ていくことにしましょう。

 

 

「経営革新」って、いったい何なの?

 1の(1)に「経営革新または・・・」とありますが、そもそも「経営革新」とは何なのでしょうか?

 

 中小企業庁の「今すぐやる経営革新(平成29年4月改訂)」では、下記のように定義されています。

 

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 「経営革新」は、事業者が新事業活動に取り組み、経営目標を設定し、経営の相当程度の向上を図ることです。

 

 お役所の説明は今一つよく分かりませんね(*^-^*)

 

 大体「新事業活動」とは何なのでしょうか? そこで次に「新事業活動」についての説明は以下の通りです。

 

 「新事業活動」とは、次の4つの「新たな取り組み」をいいます。経営革新計画を作成することにより、「新たな取り組み」の目標、重点課題等が明らかになり、進捗状況確認により機能的に事業を行うことができます。

 

・新商品の開発又は生産
・新役務の開発又は提供
・商品の新たな生産又は販売の方式の導入
・役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動
(中小企業等経営強化法第2条第6項)

 

 

 これでもよく分かりませんね(*^-^*) 特に「新役務の開発又は提供」と言われても、そもそも「新役務」とは何?という疑問が湧いてくると思います。ここでは、言葉の解釈を無理にすすめるよりも具体的な例を見てしまう方が早いでしょう。例えば「新役務の開発又は提供」については、下記のような例が出ています。

 

 美容室が高齢者や身体の不自由な方等、自分で美容院に行くことが困難な方のために、美容設備ー式を搭載した車で美容師が出張し、カットやブローの基本コースからヘアメイクや着付け等のサービスを行う。

 

 例えば上記の例を美容師の方が見れば、かなり実感が沸くのではないでしょうか?一言で言えば、「既存の業界の中では、前例がないような画期的な販売サービスの提供」といった表現になると思います。(これもあまり上手くない表現ですが”(-“”-)”)

 

 まあ、しかしながら、こういった「解説」を、延々と続けるとキリがないので「経営革新」の説明については、この位にとどめておきますが、より詳しく知りたい方は「今すぐやる経営革新(平成29年4月改訂)」を一読されては如何でしょうか?マンガ形式なので、文字だけの書類よりははるかに読みやすいと思います。(*^-^*)

 

 

「認定支援機関」って何?

 今回の記事では、経営力強化資金を借りるための条件1ー(2)の「事業計画書を策定し、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新など支援機関による指導および助言を受けている方」における「認定経営革新など支援機関」について解説したいと思います。

 

 俗にいう「認定支援機関」というものですが、少なくとも1の条件においては、認定支援機関が指導および助言を行わない限り、経営力強化資金は借りることが出来ないという訳ですね(*^-^*)

 

 それでは、一体、「認定支援機関」とは何なのでしょうか?ミラサポのホームページによる解説が分かりやすいので、下記に引用します。

 

 

認定支援機関とは?
 経営革新等支援機関(認定支援機関)は、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関です。
 具体的には、商工会や商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等が主な認定支援機関として認定されています。

 

 

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 上記を見ると、認定支援機関は、商工会系・金融機関系・士業系の3つに分かれることが分かります。なかでも民間の士業系については、税理士、公認会計士、弁護士の3士業は無試験で認定を得られるため、圧倒的にそのシェアが多いようですが、それ以外の士業や民間のコンサルタントでも、試験に通ると(あるいは3件以上、経営革新計画の支援に携わると)、認定支援機関の認定を受けることができます。

 

 ちなみに、当事務所でも認定支援機関として認定を受けておりますので、経営力強化資金による融資や補助金をお考えの際はお気軽にご相談くださいね(*^-^*)

 

 

「中小企業の会計に関する基本要領」とは?

 続いて、「ご利用いただける方」の2番目(1)に挙げられている「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を完全に適用している方または適用する予定である方」について見ていきましょう。

 

 まずは「中小企業の会計に関する基本要領」ですね。これは略して「中小会計要領」と呼ばれるものですが、これは一体どういうものなのでしょうか?

 

 あまり長々と説明してもよく分からないと思いますので、まずは中小企業庁の作成したパンフレットを見てみましょう!(*^-^*)そこには下記のような記載があります。

 

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 中小会計要領」って何ですか?

 中小企業の実態に即してつくられた新たな会計ルールです。

 非上場企業である中小企業にとって、上場企業向け会計ルールは必要ありませんが、中小企業でも簡単に利用できる会計ルールは今までありませんでした。

 

「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」は、次のような中小企業の実態を考えてつくられた新しい会計ルールです。

 

・経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない

・会計情報の開示を求められる範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている

・主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い

 

 「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」は、中小企業関係者(中小企業団体、税理士、公認会計士、金融関係団体、学識経験者等)が主体となって設置された「中小企業の会計に関する検討会」(事務局:中小企業庁、金融庁)によって、中小企業の実態に即した新たな会計ルールとして、平成24年2月1日に公表されました。

 

 

 要は、上場企業ほど複雑な経理処理を行えない中小企業のために設定された「簡易な会計ルール」ということですね。

 

 

「中小会計要領」はこれまでの会計ルールとどこが違うのですか?

 中小企業の実態に配慮して、税制との調和や事務負担の軽減を図る観点から、多くの中小企業の実務で必要と考えられる項目(以下に抜粋)に絞って、簡潔な会計処理等を示しています。

「中小会計要領」が示している項目(抜粋)

貸倒引当金

法人税法上の中小法人に認められている法定繰入率で算定する方法も使用できることを明確化しました。 

有価証券

有価証券の評価方法を、法人税法と同様、取得原価での計上を原則としています(売買目的有価証券は時価計上)。 

 

 

 まあ、会計処理と法人税処理をそれぞれバラバラにやるのも時間ばかり食ってしまうので、一本化して良いということですね。(*^-^*)

 

 中小企業庁のパンフレットを見て、少々驚いたのは、<金融面での支援>の欄の下記記載です。

 

 

<金融面での支援>

日本政策金融公庫(旧中小公庫)における「中小企業会計活用強化資金」融資制度の創設

 中小企業会計要領に準拠した計算書類の作成及び期中における資金繰り管理等の会計活用を目指す中小企業に対し、優遇金利(基準利率▲0.4%)で貸付を行う融資制度を平成24年度から創設されました。

 

 

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 政策金融公庫のホームページを見ても、経営力強化資金では金利がどれ位、優遇されるのか、記載されていないのですが、上記パンフレットの中で、具体的に金利が0.4%優遇されるということが明記されているということです(*^-^*)

 

 

「中小企業の会計に関する指針」って何?

 

 「中小企業の会計に関する指針」とは、正式には「中小企業の会計処理等に関する指針」と言いますが(以下「「中小指針」と略記)、中小企業庁のホームページには、下記の説明があります。

 

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 中小指針は平成17年8月、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所および企業会計基準委員会の4団体により策定された中小企業の会計処理等に関する指針です。

 会計専門家が役員に入っている会計参与設置会社が拠ることが適当とされているように、一定の水準を保った会計処理が示されています。

 「税効果会計」や「組織再編の会計」等も示されておりますので、必要な場合には参照し、自社の実態に応じて必要と判断される場合には適用をご検討ください。

 

 
 気にかかるのは、前項の記事であげた「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」と略記)と「中小指針」の違いですね(*^-^*)

 

 結論から言えば、「中小指針」の方が、日本公認会計士協会等が策定しただけに、「中小会計要領」と比較し、より厳格な会計ルールが適用されています。つまり現場の経理担当者等は、「中小会計要領」を採用した方が、より簡単・ラクチンに会計処理することが可能という訳です。  

 

 例えば、有価証券の評価方法について、「中小会計要領」では法人税法と同様、「取得原価での計上を原則」としていることに対し、「中小指針」では、基本的に「時価での評価が求められる」などが挙げられます。

 

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国民生活事業の場合

 中小企業事業と異なり、国民生活事業の場合、「ご利用いただける方」についても下記に変わります。

 

 

ご利用いただける方

次のすべてに当てはまる方

1.経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方

2.自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方
 

 

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 つまりは、中小企業事業の条件2として挙げられていた「『中小企業の会計に関する基本要領』または『中小企業の会計に関する指針』を完全に適用している方または適用する予定である方」および「事業計画書を策定する方」が国民生活事業ではないという訳です。 

 

 

経営力強化資金:事業計画書の失敗しない書き方とは?

 それでは、ここからは経営力強化資金事業計画書書き方記入例)について述べていきたいと思います。

 

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 政策金融公庫からお金を借りるためには、面接や借入申込書、ご本人の信用状態など重要なものが沢山ありますが、事業計画書はもっとも重要な審査要素となります。

 

 ここで致命的なミスをおかすと、融資にうまく通らないばかりか、最悪、その後、一定期間は融資申込自体が実質的にできないことになりますので、慎重な上にも慎重な書き方を心掛けたいものです(*^-^*)

 

お客様の情報の利用に関する同意について

 

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 まず、ここでは政策金融公庫側が、融資審査にあたって顧客情報を利用することの同意を求めている欄なので、サクっと署名・押印してしまいましょう。

 

 次にいよいよ事業計画書を作成していくこととなります。

 

 実際の作成にあたっては、「項目1~5」は事業者が記載し、「項目6~7」は認定経営革新等支援機関等(いわゆる認定支援機関)が記載することになります。

 

現況、新商品の開発または新役務の内容、課題・重点取組項目、具体策

 まずは政策金融公庫の記入例を参照してみましょう。そこには下記のような記載があります。

 

 

<<現況(創業の場合は創業する目的、動機)>>

・昭和50年から〇県口市内においてスーパーマーケットを営菓。小規模店舗ながら現在2店舗あり。

・「安価な生鮮品」と「地域密着型」を強みとするが、最近、近隣に大手スーパーが進出し、価格や品揃えにおいて競争力が低下している。

 

<<新商品の開発または新役務の内容>>

  [中小企業経営力強化資金を利用する場合のみ記入してください】

・(パン製造小売業の場合)原稿の小麦を原料としたパンに加え、米粉やそば粉を用いた新たな種類のパンを製造し、新市場に進出。それに加え、地域のコミュニケーションの場として活用するために、イートインスベースを新規に併設する。

 

 

 上記の記入例の通り、ここでは、「現在の状況(商況)」および「新商品の開発または新たに始めるサービス」の内容につき、簡潔に書き出せば良いようです。

 

 尚、創業の場合は、創業前の時点では、まだ商況について書くことは出来ないため、代わって、いわゆる創業の目的動機について書くこととなります。

 

 

経営上の課題項目

 本項では「経営上の課題項目」(創業の場合は「重点取組項目」)の書き方について見ていきましょう。

 

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 まず左側の列では、下記の5分野の各項目の中から該当項目を選択し、〇またはチェックをつける必要があります。

 

 

■経営全般 
 ・経営戦略の策定
 ・IT化の遅れ 
 ・事業の「選択と集中」 
 ・事業承継・後継者問題 
 ・その他( ) 

■売上・収益 
 ・営業力の強化 
 ・販路拡大 
 ・市場の競争激化 
 ・商品開発力
 ・採算分析
 ・原価・経費の削減
 ・その他( ) 
   
■人材・マネジメント 
 ・管理者層の育成 
 ・必要な人材の採用 
 ・店舗マネジメントの向上 
 ・その他( ) 

■財務 
 ・設備投資計画の策定 
 ・資金繰り計画の策定 
 ・売掛金の回収期間長期化 
 ・在庫の削減  
 ・その他( ) 

■その他 

 そして、右側の列には、「課題項目または重点取組項目を踏まえた具体策」を書きます。

 

 ちなみに、政策金融公庫の記入例においては下記のような記載があります。

 

「商品開発力」について

→ 競合の大手スーパーの価格情報をこまめにチェックするとともに、大手スーパーではカバーしきれない消費者ニーズを踏まえた商品設計を行う。

 

「採算分析」について

→ 徐々に利益が確保しにくくなってい。る店舗別、商品群別に採算分析を徹底し、要改善点を浮き彫りにする。

 

「資金繰り計画の策定」について

→ 現金商売で、赤字でもなかったためこ、れまでは精緻な資金繰り計画を継続的に策定してはこなかったが、必要性の乏しい運転資金借入をしなくて済むよう、月次で資金繰り計画を策定する予定である。

 

 
 よく指南本などには、政策金融公庫事業計画書について「空白を作ってはいけない」と書かれていることが多いのですが、上記の記入例を見ると、決してすべてが埋められている訳ではないことがお分かりいただけると思います。

 

 むしろ、課題の取捨選択をキチンと行い、重点項目からキチンと課題解決の道筋をつけていった方が良いと思われます。

 

 もっとも、「特になし」といった記載は絶対に避けるようにしてください。

 

 事業者が「何も考えていない」と誤解される恐れがあり、そうなると融資の審査に落とされる可能性が高いためです。

 

 

業績推移と今後の計画

 ここでは、定量的な計画として、かなり本格的な数値計画を作っていく必要があります。

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 政策金融公庫の用意した上記の記入例をみると、損益計算書(PL)のみならず、貸借対照表(BS)も作成しなければ、この表は完成しないことがお分かりいただけると思います。

 

 期間としては、5年を目処に長期計画を設定する必要がありますが、特にポイントは、減価償却費と経常利益となります。その理由は後ほど述べたいと思いますが、求められているのは精度の高い数値計画であり、売上高や販売管理費などは、かなり踏み込み、細かく分析した上で予測していく必要があります。

 

 一番やってはいけないことは「鉛筆なめなめ」でバラ色収支計画を策定してしまうことです。

 

 「こんな過大な数字は達成できる筈がない」ということは、融資審査に慣れている担当者からは一目で見破られしまいます。

 

 その後の面接審査において、数字の根拠を尋ねられ、そこで適切な回答が出来ないと、融資不可という結果に終わる恐れが大きいです((+_+))

 

 記入例においても、売上高は、今期見込52,420万円から最終目標(5年後)は54,500万円と5年でおよそ4%の伸び率となっていますが、これは年換算では0.8%程度の伸びしか見込んでいないことになります。

 

 「毎年5%ずつ成長!」などアドバルーンを上げるよりも、上記程度の堅実な予測をした方が、より高感度が高まると考えれば間違いないのではないでしょうか(*^-^*) 

 

 

借入金・社債の期末残高推移

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 ここは、いわゆる「有利子負債」について記入する欄となります。

 

 とは言え、私募債など例外的なケースを除けば、一定の規模以上の中小企業でない限り、社債など市場から直接的に資金調達できるケースは稀と思われますので、実質的には借入金の状況について書く欄と思われます。

 

 政策金融公庫の記入欄では、「公庫」以外では「◎◎銀行」および「△信用金庫」の2行が登場しますが、この例では「◎◎銀行」がメインバンク、「△信用金庫」がサブメインということです。

 

 しかし、資金的に不足が生じたため、新たに公庫から1,000万円の借入を起こすというストーリーのようですね。(*^-^*)

 

 この欄で気をつけなければならない点は、各行からの「借入金返済予定表」などの資料を基に、各期の正確な借入金残高を記入しなければならないということです。

 

 後に借入金返済予定表」については、別途、写しの提出を求められますので、ここでの数値が正確でないと、虚偽の数字を申告したとみなされ、最悪、融資審査が通らない恐れもあるため、慎重な上にも慎重を重ねて、記入するようにしましょう。

 

 

借入の負担の推移

 「4.借入の負担の推移」の欄には、いわゆる債務償還年数について記載することになります。

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 債務償還年数は、金融機関が融資可否の判断を行うにあたって非常に重要な指標の一つですが、皮肉なことに、政策金融公庫の記入例を見ると、ここには「中小企業経営力強化資金を利用する場合は記入は不要です」と断り書きしてあります。

 

 ですが、折角なので簡単に解説したいと思います(*^-^*)

 

 「債務償還年数」と一口で言っても、その算出には、様々な方法がありますが、政策金融公庫では下記式が指定されています。

 債務償還年数=借入金残高÷減価償却費(A・B)+(経常利益×1/2)

 

 債務償還年数とは企業が借入金を「事業から生まれたキャッシュフロー」で完済するまでに何年かかるのかを示す指標となります。

 

 「事業から生まれたキャッシュフロー」につき、簡易版では「利益+減価償却費」がよく使われるのですが、利益にも営業利益、経常利益、当期利益など、さまざまな種類があり、どの利益を使用するかは金融機関によって異なります。政策金融公庫では経常利益を使用し、そこから法人税等の税率を50%程度見込んでいるという訳ですね。(*^-^*)

 

 

 

計画終了時の定量目標および達成に向けた行動計画等

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 ちなみに、「行動計画」とは、「アクションプログラム」とも言いますが、目標を実現するために採る実行計画全般を言います。

 

 要するに先の「今後の計画」欄にて挙げた数値目標を達成するために何をするのか、という点について簡潔に書いていくことが必要となります。

 

 政策金融公庫の記入例においては、「借入負担年数を8.4年に短縮」と「販売管理費の年間300万円減少」という2つの定量目標が掲げられていますが、具体的には下記の記入例となっています。(先に、私は「債務償還年数」と表現しましたが、政策金融公庫では「借入負担年数」と言うようですね(*^-^*))
 

 

 

<<定量目標>>
借入負担年数を8.4年に短縮

<<行動計画等>>
・売上の増加と経費削減によって実現を図る(計画期間全体)。

・売上増加は、競合店の情報収集を怠らず、特売品などにおいて差別化を図り、大手スーパーでは カバーしきれない高齢者や独身世用帯の商品の品ぞろえを充実させる。

→ 計画1期目:独自商品を10品試作して、週に1-2回程度特売

→ 計画2期目:既存商品のうち、独身世帯用に特化した商品を10品程度そろえる

→ 計画3期目以降:上記のうちヒット商品の販売を強化

・経費削減は以下のとおり。

 

<<定量目標>>
販売管理費の年間300万円減少

<<行動計画等>>

・業界と比ぺた自社の財務状況を把握(計画1期目)。

・仕事の効率化を徹底し、現状の人員を維持したまま人件費を削減する(計画期間全体)。

 

 ここでは「定量目標として、どんな指標を挙げたら良いの?」ということが疑問となるかもしれませんが、ここは「経営上の課題項目」および「具体策」であげた「定性目標」とできるだけ合致させることを念頭に置けば、「どの指標を採用するか?」については、それほどこだわらなくても良いでしょう。

 

 財務改善などが主なメインテーマであれば、自己資本比率流動比率といった指標でも良いと思います。

 

 また政策金融公庫の記入例の2つ目では「販売管理費の年間300万円減少」となっていますが、これも例えば「販管費率を対売上高で5%低減」といった表現でも差し支えないと思います。

 

 ただし、その後の報告義務があるため、実務上、極端に算出が難しい指標はできるだけ使わない方が良いでしょう。(*^-^*)

 

 

認定支援機関等の所見等

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 「6.認定支援機関等の所見等」については、融資を申請する企業ではなく、認定支援機関が記入するため、企業側にとっては関心が低い場合も多いのですが、念のため、簡単に解説します。

 

 ここでは、「実施した経営革新等支援業務の内容」、「新商品の開発または新役務の内容の所見」、「本計画の評価」という3項目の記入欄が用意されています。 

 

 上記3項目の内、「実施した経営革新等支援業務の内容」、「新商品の開発または新役務の内容の所見」については、「中小企業経営力強化資全を利用する場合のみ記入してください」という断り書きがあります。 

 

 実際の記入例に書かれている内容は下記となります。

 

<<実施した経営革新等支援業務の内容>>

・新事業を早期に軌道に乗せるために、収益の改善指導を行った。具体的には、業界平均と比べて 割安な仕入れ業者を共に選別した。

 

<<新商品の開発または新役務の内容の所見>>

・この地域において、米粉やそば粉を原料としたパン製造小売業者はわずかであり、新規性は見込まれる。また、イートインを併設することで顧客の囲い込みも図れると思われる。

 

<<本計画の評価>>
・業歴が永く、従業員の定着率が高く、企業の基盤は確保している。

・売上が大きく伸びる計画ではないが、仕事の見える化による経費削減効果が見込まれ、計画は妥当と思われる。

 

 記入できるスペースが少ないことから、致し方ない面もあるのでしょうが、上記の記入例で書かれている内容は、ちょっと薄っぺらい印象があります。

 

 ただ、補助金申請などにおいても、認定支援機関の所見は、このレベルのものが多いので、それほど不安がる必要性も低いのではないでしょうか。(*^-^*)

 

 

認定支援機関連絡先

 「7.認定支援機関連絡先」は、当然のことながら、認定支援機関に記入・押印してもらう必要があります。

 

 ちょっと気になるのは、これ以前は「認定支援機関」との表現でしたが、ここでは「認定支援機関」となり「」の一文字が消えている点です。

 

 税理士や公認会計士は、実務経験さえあれば、「認定支援機関」として登録が可能ですが、あえて登録しない先生もいます。そういう先生は、「認定支援機関」ではないため、本欄への記入はできないということですね。

 

 ところで、「7.認定支援機関連絡先」に書かれた認定支援機関は、後に他の認定支援機関に変更することも可能なようです。

 

 例えば、起業時は弁護士や行政書士の認定支援機関に記名押印してもらい、後に顧問税理士がついた場合は、その税理士が認定支援機関として認定さえされていれば、その先生に変更が可能になるという訳です。

 

 上記から考えると、経営力強化資金を借りるためだけに、最初から月々の顧問料を支払い、税理士に顧問になってもらう必要性は薄いものと考えられます。

 

 話は脇道に逸れますが、政策金融公庫の記入例はちょっと面白いですね。

 

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 電話番号の「00-1234-5678」に加え、担当者名に至っては「日本」!?

 

 実際に、この日本に「日本さん」という苗字の方はいらっしゃるのでしょうか?(*^-^*)

 

 

経営力強化資金に関する最新情報

 さて、経営力強化資金については一通りの説明が終わりましたので、本項からは、経営力強化資金(場合によっては政策金融公庫)に関する最新情報を載せていきたいと思います。

 

女性小口創業の特例について

 先日、お客様より「女性小口創業の特例」について情報をいただきたいとのご要望をいただきました。 

 

 「女性小口創業の特例」とは、平成26年度補正予算に伴う制度拡充に併せて拡充した制度で、平成27年2月16日より開始された制度ですね。

 

 日本政策金融公庫のPDFを見ると下記の説明があります。

 

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 創業2期未満の方が無担保・無保証人でご利用いただける融資制度(新創業融資制度)について、女性の小口創業を支援するため、300万円以内に限って、経験や雇用等の要件を撤廃する特例を設けます。

 

 従来の「新創業融資制度」と異なる点としては、「貸付限度額」が3,000万円から300万円に下げ、代わりに「対象要件」を撤廃したことです。

 

対象要件

次のいずれかに該当する方
・雇用創出を伴う事業を新たに営もうとする方
・現に雇用されている企業に6年以上勤務し、同一業種で事業を新たに営もうとする方 等

 

 「自己資金要件」と「貸付(据置)期間」については、「新創業融資制度」と同様となります。

 

 要は「新創業融資制度」よりも、さらに小回りがきく、機動的な制度だったのですが、残念なことに、平成29年3月をもって「女性小口創業の特例」制度については廃止となってしまいました($・・)/~~~

 

 

業務連携・協力に関する覚書

 例えば2,000万円など高額な資金が必要な場合、融資審査のためのハードルが高くなる場合があります。

 

 そのような場合、おすすめなのが、「政策金融公庫」と「第2地方銀行や信用金庫など民間金融機関」の融資を同時に利用するという手法です。

 

 というのも、近年、日本政策金融公庫は、地域毎の地方銀行や信用金庫との連携を進めているためです。

 

 その連携の際に利用されるのが、「業務連携・協力に関する覚書」となります。

 

 ちょっと古い例で恐縮ですが、平成26年7月15日に、南日本銀行政策金融公庫間で締結された「業務連携・協力に関する覚書」には、下記のような記載があります。

 

 このたび、南日本銀行(取締役頭取:森 俊英)と株式会社日本政策金融公庫(略称:日本公庫)鹿児島支店、鹿屋支店及び川内支店は、「業務連携・協力に関する覚書」を締結いたしました。

 従来から南日本銀行と日本公庫は、相互の情報交換やお取引先への協調融資等に連携して取組んできましたが、今後更なる取組みの強化を図るために、標記の覚書を締結のうえ、業務連携・協力することとしました。

 これを機に、南日本銀行が有するきめ細かい相談機能と、日本公庫が有する豊富な支援ノウハウのシナジーを図り、海外展開支援、創業支援、企業再生、介護・福祉・医療支援、ベンチャー企業支援、農商工連携、経営革新推進等におきまして、地域の中小企業者及び農林水産業者の皆さまに、より一層ご満足いただける金融サービスの展開を図っていきます。

 今後、両機関では、行員・職員研修会を開催し、運用の推進を図るとともに、協調融資商品の導入も検討しサービスの充実を図ります。

 

 さらに下の図を見ると「(お客様依頼に基づき)企業紹介」や「協調融資」といった言葉が並びます。

 

業務連携・協力に関する覚書

 こうやって民間金融機関との提携を図ることにより、政策金融公庫としても、融資の回収リスクを低減したり、互いに補完できるなど、いくつかのメリットがあるという訳ですね(*^-^*)

 

 

新規開業資金とは何?

 「新創業融資制度」と一口でいっても、そこには本当にいろいろな種類があります。

 

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 「新規開業資金」、「女性、若者/シニア起業家資金」、「再チャレンジ支援融資再挑戦支援資金)」・・・等々ですね。

 

 例えば、「新規開業資金」とは、どのような融資制度なのでしょうか?

 

 政策金融公庫のホームページには、「新規開業資金」について、下記のような説明があります。

 

 
ご利用いただける方:

 「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方(一定の要件に該当し、事業を始めた方で事業開始後おおむね7年以内の方も含みます。)。

 なお、本資金の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
 

資金の使いみち
新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金

 

融資限度額
7,200万円(うち運転資金4,800万円)

 

ご返済期間
設備資金 20年以内
 <うち据置期間2年以内>

運転資金 7年以内
 <うち据置期間2年以内>

 

利率(年)
[基準利率]
独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資(転換社債、新株引受権付社債、新株予約権および新株予約権付社債等を含む。)を受けた方の設備資金・運転資金[特利A]

技術・ノウハウ等に新規性がみられる方の運転資金及び設備資金(土地取得資金を除きます。)[特利B]
 

保証人・担保
お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。

 

 

 「雇用の創出を伴う事業」などの厳しい条件もあるようですが、貸付金残高が1,000万円以内の場合には、大分緩和されるようです。(*^-^*) それでも、保証人・担保については請求される恐れもあるようですね。

 

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